2005年08月28日

偶には言うね

(河北新聞2005年08月27日土曜日社説)

05衆院選・社会保障改革/成案を得る誠意こそ出発点

 年金・医療・介護などの社会福祉は国民が困ったとき助け合う仕組みで、国としてまとまっていく芯(しん)となる基礎岩盤だ。
 今の水準を維持できるか…と不安が広がっているのは、国民がその岩盤にひびが入った、と感じているということだ。
 この意味で、社会福祉が近年の世論調査で常に一番の関心事となるのは「日本は大丈夫?」と国民が自問している反映であり、それだけ政治の責任は重大だと言うべきだ。
 何より人口減少社会への突入が目前に迫り、負担がかかる高齢層を支える若い世代が減る。
 またバブル崩壊後のリストラなどで貧富差が広がり、弱者は福祉の必要をより強く感じるのに、現実は受益者負担の増加などでハードルが高くなった。
 現行制度の基本は経済成長のパイを分ける時代にできた。だから抜本的に変えなければ維持できないと国民も感じている。
 改革の構想と道筋を示し、実現していくのは政治の責任だ。政党はそれに答えてきたか。
 端的に分かるのは年金だ。
 政府・与党は昨年「100年安心」の改革を行ったが、出生率低下を伏せた騒動は、改革が隠すもろさを明るみに出した。
 民主はここを攻め時と公的年金一元化案をぶっつけ、国民が注視する論争の中、両院合同会議が組織され「秋までに改革の方向付けを行い、骨格案を得ることを目指す」運びとなった。
 が、協議は進まないまま衆院解散となり、会議は分解した。
 国民年金の未納率は4割近く、制度は破(は)綻(たん)に近づいている。
 そしてこの経過でも未納率が改善しない事実は、国民が政党の年金問題への取り組みを信じていないことを示している。
 各党は今度もマニフェスト(政権公約)で支持を求める。
 自民は昨年の改革を自賛「公務員(共済)とサラリーマン(厚生)年金の一元化を推進」などとあっさり。公明はフリーター、ニート対策などを加える。
 民主案は2008年度までに全公的年金を一元化、年金目的消費税で月7万円の最低保障年金を創設し、所得把握に納税者番号を導入、社会保険庁は廃止し国税庁と併せ歳入庁とする。
 共産、社民は「月5万円の最低保障プラス上乗せ」「月8万円プラス上乗せ」の案が軸だ。
 収支が合うのか、つなぎ期間が不明―などと批判点はある。
 が、特に民主の詳細な公約などは前進していると言える。
 しかし一党だけの案が通る状況ではない。肝心なのは各党が国会で成案を得る覚悟と誠意に国民の信頼を得ることだ。
 財源の7割が税金で、懸け離れて手厚い議員年金の改革はそのバネとなったはずだが、棚上げされた。逃げ腰だった自民は特に批判されるべきだ。
 年金に続く課題は医療制度改革だ。政府は03年、75歳以上が対象の新保険制度の創設を閣議決定、来年の通常国会に法案を出す手順だった。膨らむ医療費をどこまで、どう抑えるか―の難問だ。
 この問題も政争の具とするのは許されない。各党は獲得する票を足場に妥協し合い、政治の知恵を示していくしかない。

posted by hiro at 09:45| 宮城 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 感心 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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