2005年08月12日

奪ったものを返せよな

(ゲンダイネット2005年08月12日10時00分【2005年8月9日掲載】)

「失われた5年だった」小泉政権

 ついに「自爆テロ解散」になった。4年4カ月にも及んだ小泉政権とは一体何だったのだろうか。選挙前に一度検証しておく必要がある。それをひと言で言えば、失われた10年に続く新たな「失われた5年」であった。なぜ、そうなったか。
 そもそも小泉政権が繰り返した「構造改革」VS.「抵抗勢力」という2分法自体が、完全に時代遅れだった。それは1980年代のサッチャー、レーガンの時代を真似たものである。だが、当時は猛烈なインフレ時代。サッチャーやレーガンは、インフレ抑制のために、民営化や規制緩和政策によって雇用を不安定にして消費を抑えたのだ。この時代錯誤の政策を今やれば、デフレ脱却が遅れるのは当然だろう。
 それより何より、日本が直面している数々の課題は、もはや「構造改革」(供給サイド)か、「景気対策」(需要サイド)かという単純な政策対立の枠組みでは解決できないものばかりになっている。膨大な財政赤字、少子高齢化と年金制度、補助金政治と地域格差、雇用の不安定化と格差……といった課題がそうだ。あらゆる制度がもたなくなっている。
 いま必要な改革とは、社会の仕組みを変えることによって、破綻寸前のこの社会を持続可能なものに変えることである。それに役立つなら、官だろうが、民だろうが、どちらでもいいのだ。それなのに小泉首相は「官か民か」と、手法の選択ばかりを繰り返してきた。実に不毛な議論だった。
 それでも多くの国民は「構造改革」という言葉に踊らされてきた。人は過去の思考から簡単には逃れられないものだ。いかに時代遅れだろうと、小泉の「改革」という言葉を信じるしかなかったのだ。
 しかも、小泉首相は、スローガンを叫び感情に訴えるだけで、具体的な政策については説明責任を放棄してきた。いわゆる「ワンフレーズ・ポリティクス」だ。その結果、国民は思考停止に陥り、議論の場である国会を空洞化させてしまった。その意味で、小泉政治の最大の罪は、人々から思考力を奪ってしまったことにある。もし小泉のワンフレーズを口にしている自分を発見したら気をつけろ! それはバカが着実に進行している症状だからだ。【金子勝】

posted by hiro at 13:54| 宮城 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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