2005年06月19日

抵抗権

(ゲンダイネット 2005年06月19日日曜日)

小泉首相 4年間で自民党の何をぶっ壊したか
「自民党をぶっ壊す」――。そう絶叫して誕生した小泉政権。小泉首相は「構造改革」VS「抵抗勢力」の対立を演出し、旧竹下派を徹底的にぶっ叩いてきた。その結果、自民党は安心して政権を任せられる政党ではなくなった。
 旧竹下派を中心とする抵抗勢力は、実は護憲派の中心だった。その代表格は後藤田正晴であり野中広務である。経済政策は、競争より公平、弱者の味方だった。保守のケインズ派というか、いわば「体制内社民勢力」であった。
 小泉首相の靖国参拝に強く反対しているのも、彼ら「抵抗勢力」だ。抵抗勢力は「国益」をベースにしてアジア諸国とのパイプを持とうとしていた。外交スタンスは、タカ派的な武力ではなく、経済力をバックにした援助外交だった。
 状況はひどくねじれている。小泉首相による「抵抗勢力」の一掃は、結果的に護憲派を一掃し、アジア諸国との隣国外交を推し進めてきたリアリスト保守派の一掃につながってしまうからだ。ところが、皮肉なことに、抵抗勢力は金権政治で腐っているので、国民は誰も、彼らの復権を望んでいない。
 小泉内閣の4年間で、抵抗勢力が一掃されるのと引き換えに、小泉首相や安倍晋三のような素っ頓狂な米国ベッタリ、アジア軽視、改憲、タカ派勢力ばかりが急速に勢いを増している。
 しかし、こうした状況は国益につながらない。すでに対米輸出は2割程度しかなく、その一方、対中国輸出は香港も含めると3割に達している。アジア内貿易が企業にとっての生命線になりつつあるのだ。「抵抗勢力」を一掃したことで、隣国外交がギクシャクしていくと、企業は存立を脅かされる危険性がますます高まる。
 国民が早く気づくべきことは、自民党が変質したということだ。かつて有権者が自民党に抱いた安心感は、「タカ派、市場原理主義、米国ベッタリ、改憲」というグループと「ハト派、弱者擁護、アジア重視、護憲派」という2つの勢力がバランスを取りながら、自民党内で政権交代をしていたことだった。しかし、小泉政権によって、その片方の勢力は、もはや消え去りつつある。
 このままでは、日本はアジアから締め出され、米国にはいいように使われ、さらに市場原理主義によって、企業も地域も個人もますます貧富の格差が広がっていくだろう。小泉首相が本当にぶっ壊しているのは自民党ではなく、本当は日本という国なのかもしれない。【金子勝】

posted by hiro at 11:12| 宮城 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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